現在、世界中に訪れている「和ブーム」。日本「和」への興味。
「和食」は2013年ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界各地でヘルシー食として注目されています。和文化の象徴である「京都」は二年連続(2014年、2015年)で世界の観光地ランキングで1位となりました。
では、なぜこれほどまでに人々を魅了しているのでしょうか。
「和」という言葉は古代中国が日本の事を「倭(わ)」と読んだ事に由来すると思われている方もいらっしゃるでしょうが、それは違うかもしれません。「倭」という言葉には差別的な意味もあります。
「倭国」が「日本」となったのが7世紀頃。当時、聖徳太子が唱和した「和を重んじる・和を貴ぶ」という考えこそが「和」の真実です。その時代、特に資源も少なく暮らしづらい環境であったようです。その中で生き抜く術として会得したのが「調和」なのではないでしょうか。
「ちょうど良い」「すっと溶け込む」といった塩梅を重んじてきたのです。「互いが理解して互いを思いやる」これこそ「日本文化」・「和」そのものです。
「和」の魅力が世界に認識されたのが、奇しくも2011年の「東日本大震災」でした。被害の深刻さとその中で助け合い力強く生きていく日本人の「和」思想が世界で注目をあびたのです。現代は争いの時代といわれています。この時代を豊かに生きる術として世界中の人々が「和」の重要性に気づきだしているのです。
突然ですが着物を着る時、どちらの襟から合わせるかご存知ですか?日本人ならみなさん分かると思います。右襟から先に合わせますよね。この襟合わせの歴史は養老時代まで遡ります。
719年に初めて「天下の百姓をして襟を右にせしむ」と衣服の着用方法が定められました。天皇から農民に至るまで全ての人が、襟を合わせるときは右襟から先に合わせなさい、ということです。約1300年間たった現在でもこの着用方法が受け継がれているのです。このように昔から変わっていない事と、その時代に合った衣装が融合していき、現在の伝統的な着物に変化していきました。
では、伝統とはなんでしょう?古い物を継続するのは「伝承」であって、今までの技術を時代に合った物に変化させ次に送っていくのが「伝統」です。もちろん、今も着物はゆっくり変化しています。次の世代に向け「今」を大事に「着物」を着たいものです。
時間論をともなう日本人の伝統的な世界観である「ハレとケ」という考えはご存知でしょうか。改まった日を「ハレの日」と言います。「気持ちが晴々した」「晴れやかな」の「ハレ」です。一方「ケ」とは日常の事です。「気(ケ)」がなくなると「気が枯れます」これが「穢れ(ケガレ)」です。お祓いをして浄化させる事が「ハレ」で、その日に着るのが「晴れ着」という訳です。そのような非日常の時間を過ごせる物として着物は最適です。現在でも着物が着用され愛されているのはこのような理由があるのです。
「JAPAN DAY」とは、オークランド在住の日本人、現地の人々に日本の伝統文化から現代文化まで幅広く日本文化を紹介、体験できる機会を提供することによって、ニュージーランド・日本両国の相互理解を深めることを目的として年に一度開催されております。
和心にしおかはこの「JAPANDAY」に2010年から毎年参加させていただいております。日本の伝統文化である「着物」のブースを担当し、毎回多くの人たちに着物を体験していただいております。これからも、和心にしおかだからこそできる文化継承の形を提案し活動していきます。
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